2025/11/22
その建築費、本当に回収できますか?「大手だから安心」に潜むアパート経営の落とし穴
最近、アパートやマンションの建築提案をさせていただく機会が増えています。土地活用をご検討されているオーナー様にとって、どの会社に任せるかは将来を左右する大きな決断です。当然、私たち以外にも大手のハウスメーカー様など、数社が競合として提案に参加されることがほとんどです。

日々、他社様の提案内容や動向を肌で感じている中で、プロとして「これはオーナー様にとってリスクが高すぎるのではないか」と危惧することがあります。
今回は、アパート建築の現場で今起きている「高額提案」の実情と、そこにあるリスクについてお話ししたいと思います。
驚きの建築費と立地のミスマッチ
先日、ある競合他社様の提案内容を耳にする機会がありました。 その内容は、このようなものでした。
立地: 最寄り駅から徒歩30分以上
規模: 全8戸(1LDK×4戸、2LDK×4戸)
建物本体価格: 1億3,000万円 〜 1億5,000万円
いかがでしょうか? 駅から離れた立地で、8戸のアパートにこれだけの初期投資をする。これは投資効率の観点から見ると、非常にハードルが高い数字です。
もちろん、大手の会社様がつくる建物は立派で性能も良いでしょう。しかし、アパート経営は「作品づくり」ではなく「事業」です。回収できないほどの高コストな建物は、事業としてのスタート時点ですでに大きなハンデを背負っていることになります。
「家賃保証」の落とし穴
こうした高額な提案のセットとして必ず出てくるのが、「30年一括借り上げ(サブリース)」や「家賃保証」という言葉です。
「初期投資が高くても、大手が家賃を保証してくれるなら安心だ」
そう思われるオーナー様も多いのですが、ここが一番の落とし穴になりかねません。なぜなら、「家賃保証」=「家賃が一生下がらない」という意味ではないからです。
駅から30分以上離れている場所で、新築時の高い家賃設定が10年後、20年後も続くでしょうか? 建物が高額であればあるほど、借入金の返済額は大きくなります。もし将来、周辺相場に合わせて家賃が下がったり、空室が増えたりした場合、保証会社側から「家賃改定(保証額の減額)」の話が必ず出てきます。
その時、多額のローン返済が残っているオーナー様はどうなるでしょうか? 家賃(収入)は減らされるのに、ローン(支出)は減りません。これが、アパート経営における最大のトラブルの火種であり、キャッシュフローが破綻する典型的なパターンです。
さらに深刻なケースでは、返済が厳しくなった物件を建築した会社側が安値での買い取りを提案し、それを転売して再び利益を得るという事例さえ耳にします。これでは一体、誰のための、何のための土地活用だったのか分かりません。
私たちが提案したい「身の丈に合った」土地活用
私たちは、ただ建物を建てていただくことがゴールだとは考えていません。オーナー様が長期にわたって安定した収益を得られ、次世代に資産を残せることがゴールです。
そのためには、「立地に見合った適正な建築費」でプランニングすることが何より重要です。
過度な装飾やオーバースペックな設備を削ぎ落とす
そのエリアの家賃相場から逆算して、無理のない返済計画を立てる
初期投資を抑えることで、将来の家賃下落リスクに備える
私たちは、見栄えの良い高額な提案よりも、「将来にわたってオーナー様を守れる現実的な提案」をこれからも続けていきたいと考えています。
もし今、お手元に「少し高すぎるのではないか?」と感じる見積もりや提案書がある場合は、ぜひ一度セカンドオピニオンとして私たちにご相談ください。その数字が適正かどうか、プロの視点で正直にお話しさせていただきます。











